エコキュートにする? ガス給湯器に戻す? エコキュートのメリット&デメリット
「光熱費を見直したい」「使っている給湯器がそろそろ寿命を迎える」といった理由で給湯器の交換を検討している場合、エコキュートにするか、ガス給湯器にするのかという決断は今後10年間以上の光熱費に影響を与えるためとても重要です。
ここでは、エコキュートのメリットやデメリット、交換する際の注意点や費用相場について詳しくご紹介します。
目次
1.エコキュートってどんな給湯器?
最初にエコキュートとはどんな給湯器で、どのようなメリットやデメリットがあるのかについて解説していきます。
(1)エコキュートのお湯を沸かす仕組み
エコキュートは電気温水器ですが、従来の電気温水器と異なるのは「電気を使ってお湯を沸かす」のではなく、「空気中の熱を集めて圧縮してお湯を沸かす」という点です。
ヒートポンプユニット内で、冷媒が空気中の熱を集めて運ぶのですが、運ぶ際に電気を利用します。
給水した水を水熱交換器でお湯にして、貯湯タンクに貯めて、お風呂やキッチンの給湯に使います。
(2)エコキュートの省エネ効果
冷媒を運ぶ際にだけ電気を利用しますので、従来の電気温水器と消費する電力が異なります。
エコキュートの年間の電力消費量は、電気温水器の1/3ですから、大きな省エネ効果を期待できます。
例えばダイキンのエコキュートの場合、年間のランニングコストは都市ガス対応のガス給湯器で71,600円(都市ガス)かかるのに対して、ダイキンのエコキュートに交換すると年間21,800円となる試算結果が出ており、およそ70%の光熱費を削減できる省エネ効果が期待できます。
(3)エコキュートのメリット&デメリット
メリット
エコキュートのメリットは、光熱費のランニングコストを抑えることができる点です。
近年は原油価格、天然ガスの価格が上昇し、電気代やガス代といった家庭の光熱費負担は増す一方ですから、省エネ効果が一番のメリットです。
CO₂排出量もガス給湯器と比べて0.7t(スギおよそ47本分)削減できますので、お財布だけでなく地球環境にも優しいのがエコキュートのメリットになります。
停電になった際も貯湯タンクに貯まったお湯は利用できるので、災害時の備えとしてもメリットがあります。
デメリット
一方でデメリットは初期費用が高いという点です。
交換費用の相場は後半で詳しく解説しますが、ガス給湯器の初期費用と比べるとエコキュートを設置する場合2倍から3倍高額になります。
この初期投資を、ランニングコストを抑えることで回収するという考え方で導入する方が多いですが、あとから述べるように、エコキュートが向いている世帯と向いていない世帯があります。
向いていない世帯の場合、設置費用を省エネで浮いた費用でまかなうのは難しくなります。
また、給湯器内で沸かしたお湯を直接配管に流すため省スペースで、壁掛け式などの設置方法もあるガス給湯器とは異なり、エコキュートは空気を圧縮するヒートポンプユニットと貯湯タンクの2つを設置するためのスペースが必要です。
特にヒートポンプユニットは屋外に設置しますので、そのスペースを確保しなければなりません。
ガス給湯器は壁掛け式であれば設置スペースをほとんど取らないので、設置面積が広い点もデメリットのひとつになります。
(4)エコキュートが向いている家庭とは?
エコキュートに向いているのは、住宅がオール電化の家庭です。
これまでガス給湯器を利用している世帯であれば、住宅をオール電化に切り替える場合、給湯器だけでなくキッチンもIHクッキングヒーターにするなど、オール電化に伴う費用がかかりますので注意が必要です。
また、エコキュートは深夜の電気代の安い時間に計画的にお湯を貯めることで節電していますので、日によってお湯の利用量に大きな差があるような家庭の場合、計画した量よりお湯の使用量が多い日にお湯切れが起こって、電気代の高い日中に沸かし増しをして電気代が高くなってしまうため不向きです。
2.エコキュートの交換方法と注意するポイント
ここからは、エコキュートに交換する際に注意すべきポイントを、設置工事を行ったお客様の声と共に解説していきます。
(1)エコキュートからガス給湯器に交換する場合
新築でエコキュートを設置していたご家庭で、交換時にガス給湯器に変更したいと判断された場合、ガス管の配管工事が必要になるケースがあります。
ガス管が埋設されていない場合、敷地内にガス管を引き込む必要があります。
ガス管の埋設工事はガス会社に依頼します。ガス配管の工事費用は配管の長さによって異なりますが、一般的に2~3万円程度です。
過去にガス給湯器を利用していて、ガス配管が残っている場合は配管工事の必要はありません。
エコキュートは本体価格・工事費用ともにガス給湯器に比べて高く、3倍以上かかることもあるため、トータルの交換費用を考えると、ガス配管の工事費を出してもガス給湯器に交換する方がお得になる場合があります。
▶お客様の声:「交換する際の注意点をしっかり説明してくれて、3時間の作業時間でガス給湯器を設置してくれました。エコキュートが壊れる前に交換できて良かったです!」
(2)エコキュートからエコキュートに交換する場合
エコキュートから新しいエコキュートへ交換する場合、メーカーの異なるエコキュートへの交換も可能です。
ただしタイプが異なることで、別途配管接続工事が必要になるケースがありますので、購入の際にはこの点を必ず確認するようにしましょう。
また、設置工事には既存のエコキュートの撤去費用もかかります。
夫婦2人で使用するのであれば貯湯タンクは180Lで十分ですが、家族が増えて4人なると370Lまたは余裕を持って460Lの貯湯タンクが最適です。
なお、ヒートポンプユニットのみの交換や、貯湯タンクのみの交換はできません。
▶お客様の声:「お湯が出なくなり、エコキュートの修理部品がないため交換を検討しました。設置場所が狭いので心配でしたが、問題なく入荷してすぐに交換してくれました!」
(3)ガス給湯器からエコキュートに交換する場合
ガス給湯器からエコキュートに交換する場合、エコキュートを設置するための基礎工事や、浴槽内に追い焚き用の循環口の新設工事が必要です。
分電盤が200Vに対応していない場合は、分電盤の設置工事も行います。
ガス給湯器と異なり、エコキュートは設置面積が広いので、そのスペースと搬入経路の確認は事前にしておきましょう。
3.給湯器交換の費用相場
ここでは、給湯器を交換する際の費用相場について解説していきます。
業者によっては工事費を本体価格に含んでいる場合もありますので、事前に確認しておきましょう。
(1)ガス給湯器からエコキュートにする場合
ガス給湯器とエコキュートではエネルギー源はまったく異なりますので、交換の際の工事費用はほかよりも高くなります。
目安としてはおよそ37万から70万円です。内訳は以下のとおりです。
内容 | 費用相場 |
本体価格 | 20万から35万円 |
設置工事費 | 15万から20万円 |
電力会社への申請費用 | 2万から3万円 |
分電盤の設置工事(分電盤が200Vに達していない場合) | 3万から6万円 |
幹線交換 | 3万から5万円 |
浴槽の穴開け工事(必要な場合) | 1万円 |
(2)エコキュートからエコキュートにする場合
エコキュートから新しいエコキュートへの交換費用の相場は30万円から50万円です。
ガス給湯器からの交換よりも、エコキュートからエコキュートへの交換の方が費用は安くなります。
内容 | 費用相場 |
エコキュート本体価格 | 20万から35万円 |
設置工事費 | 10万から15万円 |
既存のエコキュートの処分費用 | 1万から2万円 |
(3)エコキュートからガス給湯器にする場合
エコキュートからガス給湯器に交換する場合の費用相場は、10万円から35万円です。
内容 | 費用相場 |
ガス給湯器本体価格 | 5万から25万円 |
設置工事費 | 2万から7万円 |
既存のエコキュートの処分費用 | 1万から2万円 |
なお、ガスの配管が通っていない場合は、ガス管の配管工事に2万から3万円ほどかかります。
配管の長さによっては10万円以上かかるケースもあります。
4.まとめ
エコキュートは、耐用年数の10年から15年という長い目で見た場合のランニングコストは抑えることができますが、世帯によって向き不向きがあります。
初期費用はガス給湯器より高くなります。
交換費用もガス給湯器に比べて高いため、実際にエコキュートを使ってみて、あまりエコキュートが向いていなかったと感じるお客様は、エコキュートからガス給湯器に交換する方も多くいらっしゃいます。
この記事ではエコキュートの交換について詳しくご紹介しました。
エコキュートのメリットとデメリットをよく検討し、世帯に合った給湯器交換の参考にしてみてください。