雨漏りトラブル|原因と上手な対処のポイント
マイホームは一生モノですから、できるだけ長く快適に過ごせる空間であってほしいですよね。
しかし、家は建てて終わりではなく、定期的なメンテナンスが肝心です。
適切なメンテナンスを怠ると思わぬ大きなトラブルに繋がってしまうことも…。
そのなかでも、生活に大きな支障をきたすトラブルの「雨漏り」。
今回は「なぜ雨漏りが起こるのか」と「雨漏りが起こったらどうすればいいのか」について詳しくお伝えしていきます。
【目次】
POINT① 「即時に対処」で家を守る
雨漏りが起きた場合のポイントのひとつが「迅速に対応すること」です。
統計によると、住宅トラブルのおよそ85%が雨漏りによるもので、
さらにその雨漏りが起こったケースのおよそ70%が数ヶ月放置してから修理業者に相談しています。
雨漏りは、初期段階では、そこまで深刻に見えなくても、放置しておけば状況は必ず悪化していきます。
そのため、結果として手に負えなくなったタイミングで相談するということにもなりかねません。
なかには雨漏りを自分で直そうとした結果、雨漏り被害がより拡大してしまい、
高額な修理費用がかかったというケースもあります。
ですから、雨漏りに気づいたら、すぐに修理業者に相談して対処することが大切です。
POINT② 修理業者は「事前にチェック」で安心
雨漏りは、専門業者による点検を定期的にして、雨漏りが起きる前に不具合を発見することが一番ではありますが、
現実として、そのようなメンテンナンスを行っている家は少数かもしれません。
では、雨漏りが起きた際の対応は、どのような点が重要になるでしょうか?
ポイントは、雨漏りに気づいたら「すぐに相談する修理業者がいるのか」ということです。
多くの業者が存在するなかで、「どこがいいのか」、「業者によって何が違うのか」「保証はどうか」といろいろ調べていると、
それだけもかなりの時間がかかります。
実際に、雨漏りが深刻化している状況だとしたら、どうでしょうか?焦って慌ててしまうことと思います。
ですから、平常時に「もしもを想定して業者の目星をつけておくこと」がとても大切です。
気になる業者について、対応内容や施工実績、料金などを事前に比較検討しておき、
信頼できる業者を見つけておくようにしましょう。
―雨漏り修理の基礎知識―
1. 雨漏りが起こる主な原因とは?
雨漏りが起きる理由はいくつか考えられます。ひとつは「自然災害」によるものです。
台風によって屋根瓦が飛んでしまったり、飛来物によって屋根や天窓が破損したりするのです。
予想以上の積雪や、強烈な雹によっても雨漏りの被害を受けることはあります。
このケースは自然災害の直後ですから気づきやすいはずです。
しかし、雨漏りの原因は自然災害だけではありません。
長く家を使い続けることによる「経年劣化」も考えられます。
その場合の雨漏りは、屋根だけではなく、外壁のひび割れや、
窓枠を固定しているコーキング(壁との間を埋めるゴム状の防水材)が劣化したことによる隙間などからも起きます。
コーキングは10年が交換の目安になっていますので、どのようなお宅でも、
放置し続けると、いずれは雨漏りの原因が発生するのです。
その他にも換気扇や配管の隙間からの雨漏り、
屋根の下に張られた防水シートの腐食による雨漏りなどがよくある原因として挙げられます。
外壁や窓であれば経年劣化はわかりやすいですが、内部の異常は日々の暮らしの中で気づくことは難しいでしょう。
ただ、家の経年劣化を避けることはできません。
雨漏りはどこの家でも起こりえるトラブルだということです。
2. 雨漏り症状の一覧
雨漏りというと「天井から水が滴り落ちてくる」というイメージがありますが、原因を考えると症状はそれだけではありません。
壁や窓にも注目する必要があります。実際に雨漏りが起こると、どのような症状が現れるのでしょうか。
天井
- 水が滴り落ちてくる(水の落ちる音が聞こえてくる)
- 天井のクロスや天井板にシミができ、広がっていく
- 天井のクロスが剥がれている
- 天井に黒カビが生えている
- 天井材の一部が腐って落ちてくる
壁
- 壁紙にシミができ、広がっていく
- 壁紙が剥がれている
- 壁紙が浮いてきた
窓
- 閉め切っているのに室内の窓サッシが濡れている
- 窓下の壁紙が剥がれている
臭い
- 室内がカビ臭い
このような症状が現れたら、雨漏りの可能性があると考えられます。
特に壁紙のシミは放置しがちですので、気をつけましょう。
台風が通り過ぎた後だけではなく、定期的に天井や壁を点検していくのが大切です。
3. 雨漏りはどうやって調べるの?
修理する際は、まず雨漏りがどこで・なぜ起きているのかを調べなくてはなりません。
ですから雨漏りが起きた場合は、まずはその経路や発生源の確認から始まります。
これは基本的には「目視調査」です。
屋根瓦や板金の状況を調べたり、外壁のひび割れや塗装が剥げていないかといった点を調査していくわけですが、
どこが原因なのかは、経路が複数ある場合などもあり、実はプロの業者でも非常に気をつかう作業です。
ですから、目視だけではなく、より正確に経路を特定するための調査も行います。
散水調査
実際に散水して隙間を調べる方法です。
もちろん事前に室内はビニールシートによって養生するため、水浸しになるというようなことはありません。
発光液による調査
紫外線を当てると発光する検査液屋根や壁から流し込み、雨水の侵入口を見つける調査方法です。
発光するため水の侵入経路を可視化することができます。
赤外線カメラ調査
「サーモグラフィー調査」ともいいます。
こちらも雨漏りの原因を「見える化」する調査方法です。
雨漏りの原因を調べるとても効果的な方法ですが、
隣地の建物が近いお宅や金属製の屋根材を使用している場合は、調査できないこともあります。
解体調査
上記の調査方法でも雨漏り原因の特定が難しい場合は、
部分的に屋根材などを取り外して調査する「解体調査」という方法もあります。
特別な機器を使用して作業を行うこともあり、コストがかかるため、あくまで最終手段としての調査方法です。
4. 雨漏りを放置するとどうなるの?
雨漏りを放置しているとどのような悪影響があるのでしょうか?
まず怖いのが、雨漏りによる構造体の腐食です。
雨漏りによる腐食は、木材の強度を下げるだけでなく、鉄骨や鉄筋コンクリートの強度にも影響するためとても危険です。
また、家を食害する害虫として有名な「シロアリ」は、湿度の高い場所を好みますので、
雨漏りを放置したことによってシロアリの被害が拡大する恐れもあります。
柱や梁といった構造体が腐食したり、傷んでしまったりしてから修理することになると修理費は高額になってしまいます。
当然、雨漏りによってできる壁紙などのシミも放置すれば、どんどん広がり、
張り替える面積が大きくなれば、その分、費用も高額になります。
雨漏りをすぐに修理するのか、放置するかは、結果として「修理コスト」に大きく影響することを忘れないようにしましょう。
他にも、雨漏りを放置した弊害は「健康面」にも影響を与えます。
雨漏りによって「カビ」が大量に発生すると300種類を超えるカビ毒のリスクが高まります。
アレルギー感染症を引き起こし、咳が止まらなくなったり、頭痛が頻繁に起こるようになったり、
最悪のケースとして呼吸困難になることさえあります。
このような健康被害を防ぐためにも雨漏りは放置せず、迅速に対処することが大切です。
5. 雨漏りで困った…|自分でできる応急処置の方法
台風の被害などで、突然、雨漏りが起きた場合、一時的でも雨水の侵入を防ぐため、
何かしらの応急処置を自分ですることもあるでしょう。
そこで自作の応急処置の方法をいくつかご紹介します。
天井からの雨漏りの場合、屋根にブルーシートを被せることで被害を最小限に食い止めます。
この場合、ブルーシートの固定には、砂利などの目の粗いものを積めた土嚢袋などを使用してください。
ロープで固定すると固定した場所に二次災害を引き起こす危険性がありますので注意してください。
トタン屋根で修理しなければいけない箇所がはっきりわかる場合は、防水テープで塞ぐという方法もあります。
防水テープが手に入らない場合は、粘着テープでも代用可能です。
しっかりとホコリや油分を拭き取ってから貼るようにしてください。
また無駄に貼りすぎると、別の雨漏りの発生源を生み出すリスクもありますので、必要箇所のみ貼るようにしましょう。
DIYが得意であれば、外壁や窓枠の隙間をコーキング材(シーリング材)で埋めるという方法もあります。
ただしコーキング材は種類が多く、アクリル系だと水性のために効果がないといったこともありますので、
しっかり確認してください。
問題は、誤った場所を埋めてしまった場合に、雨水の流れる経路が変わって、
別の箇所まで雨漏りの被害が広がるケースもあるということです。
また、釘を打つといった修理をすると逆に余計な部分に穴を空けてしまい、状況が悪化する危険性もあります。
雨漏りの修理は根本的な原因を解明してから正しい処置をすることが重要です。
これらの処置は必要最低限のあくまでも修理業者にお願いするまでの応急処置程度にとどめておきましょう。
6. 雨漏りの修理業者の選び方
それでは実際に雨漏りが起きた場合、どのような修理業者を選べばいいのか、そのポイントについてお伝えしていきます。
格安の見積もりを提示して、修理後に追加費用を請求してくるような悪徳業者もありますから、
しっかり信頼できる業者を選ぶことが重要です。
地域密着で小回りが利く
なんといっても地域で評判の良い業者は信頼できます。
全国区で有名な業者だから安心ということはありません。
広告費に力を入れているため、施工費が高いといったデメリットがあります。
また、施工は各地の下請け業者が行うことになり、実際の施工業者の実績はわからないといったケースもあります。
修理の善し悪しの判断は10年後に現れるといわれていますので、地域に長く密着しており、評判が良いのであれば確かな実績です。
最後まで親身に対応してくれるような小回りの利く業者であれば安心して修理をお願いできるでしょう。
アフターケアや保証を事前に確認
もちろん多くの業者は、丁寧に細心の注意を払って施工しているはずですが、
それでも、思わぬ不具合や雨漏りが再発してしまうというリスクがゼロになることはありません。
アフターケアや保証については、「何を・いつまで・どのように」対応してもらえるのか、必ず事前に確認しておきましょう。
「アフターケアまで対応します」と宣言している業者は「それだけ修理に自信がある」という証拠でもあります。
アフターケアの内容は、業者によって異なりますので、サイトや広告で判断できない場合は直接問い合せをしてみてください。
大がかりな修理の場合は有資格者の確認
業者選びに悩んだ際には「有資格者の作業員が在籍しているのか」といった点にも注目してみてください。
雨漏り検診士や、屋根や外装の修理や防水について知識と経験のある防水施工技能士、シーリング一級技能士、
または建築板金基幹技能者の資格を持った作業員がいるのであれば、無資格の業者よりも安心して任せることができるでしょう。
こちらも直接問い合せをして確認する必要があります。
詳細な見積もり内容で説明が丁寧
複数の業者の候補がある場合、まずは見積もりをお願いします。
この場合、担当者の説明がざっくりで、『工事費用一式』とだけ記されているような見積もりは要注意です。
実際に工事を始めてからさまざまな理由で費用を上乗せしてくる危険性があります。
「今すぐ契約すれば半額です」「〇〇社よりも値引きします」といったセールストークで契約を急かしてくるような業者も、
後々トラブルに繋がることがありますので注意してください。
担当者が工事の内容について詳しく丁寧に説明してくれて、見積もりも詳細まで記載されているような業者であればひとまず安心。
サイトに掲載されているお客さまの声や、身近にその業者を利用した人がいるのであれば、
見積もりはどのような内容だったのか確認してみてみるのもよいでしょう。
調査結果や原因を画像で見せてくれる
親身に対応してくれる業者は、雨漏りの発生源がどこにあるのか調査した後で詳しく説明をしてくれます。
「どこで雨漏りが起きているのか」、「どこまで雨漏りの被害が広がっているのか」、
「なぜこのような雨漏りが起きてしまったのか」という点を調査結果の画像などを使って解説してくれるのです。
だからこそ、修理の内容や修理費用の説明についても納得した上で依頼することができるでしょう。
こういった過程を省略して契約を急かす業者は、雨漏りの修理に限らず依頼しない方が賢明です。
以上の項目をすべて満たしている業者であれば、安心して修理をお願いすることができます。
単純に大手の業者だから、とにかく費用が安いからといった理由だけで雨漏りの修理を依頼しないようにしてください。
業者選びのキーワードは「親身で、隅々まで手が届く対応をしてくれるかどうか」になります。
7. 火災保険が使える雨漏り修理の条件とは?
雨漏りの修理については、「火災保険」の補償が適用されるケースがあります。
まずはご自身の火災保険の内容を確認してください。
台風や竜巻などの強風・突風によって屋根が壊れた、瓦がずれた、
外壁がヒビ割れたといった「自然災害」によって雨漏りが起こった場合は火災保険の補償を使って修理をすることが可能です。
ただし被害から3年以上経過していたり、修理費が20万円以下の場合は対象とならないこともあるため、申請時には注意してください。
また「経年劣化」による雨漏りは適用外となります。
判断が難しい場合は修理を依頼する業者に相談する方法もあります。
そのまま手続きを代行してくれる業者もありますが、なかには、
・高額な代行手数料を請求された
・施工後に火災保険の補償が受けられないことがわかり全額自己負担になった
など、トラブルも増えています。
火災保険の補償が必要な場合は、受けられるのかを確認してから工事を開始してもらうようにしましょう。
8. 雨漏り修理を事例でご紹介
まとめ
どんなに立派な家を建てても、長い月日の中での劣化を防ぐことはできません。
雨漏り修理の大切なポイントは、
- 修理を依頼する業者は事前に調べておくこと
- 雨漏りが起こったら、なるべく早く修理を依頼すること
です。
「このくらいなら大丈夫」と放置せずに、まずは、業者に相談するようにしましょう。
親子大工は、地域密着でかつ丁寧な説明のもと、必ずお客さまにご納得いただいてから施工を行っております。
雨漏りへの対応で大切なマイホームの寿命は変わってきます。
ぜひ信頼できる業者でしっかりと修理してもらい、長く快適に過ごしてください。