外構工事のポイント|費用相場と費用を抑えるコツ
お客様や外から帰ってきた家族を最初に迎えるのは、家の周りにある門やフェンスなどの「外構」です。
理想の家を目指すには、建物そのものだけではなく、外構までトータルでイメージすることが成功のポイントになります。
しかしそもそも外構とはどこまでの範囲を指すのか、また工事はどこに依頼すればよいのか迷う方が多いようです。
この記事では、外構工事を依頼するときの基礎知識を、業者の選び方から費用を抑えるコツまで含めて詳しくご紹介します。
【目次】
<POINT>ライフスタイルに合わせて無駄なく節約
門扉やフェンス、あるいはカーポートなどの外構は、一度設置すると頻繁に交換するものではありません。
耐用年数も比較的長く、環境がよければ10年、あるいは20年もの長い期間使用できるものが多いことが特徴です。
そのため、最初にどのような外構設備を備えるかの決定は、とても大切になります。
例えばアプローチに段差をつけたため、ベビーカーや車椅子を家に入れるのに一苦労、という失敗はよく聞くお話です。
外構工事は、将来のライフスタイルの変化を考慮して決めることが、結果的にコストの節約や最終的な満足度に繋がります。
ぜひ長い目で見た設計をするようにしましょう。
―外構工事の基礎知識―
1. 外構って何?
「外構」とは、家の外にある構造物そのものを指す言葉です。
例えば家の「内」と「外」を分ける門、道路や隣家との境界に立てるフェンスや塀、
道路から玄関まで続くアプローチなどが外構に含まれます。
ほかにもウッドデッキやサンルーム、カーポートなども外構に分類されます。
似た言葉に「エクステリア」がありますが、エクステリアは家の周りの空間そのものを指し、
外構とは異なりもっと概念的に使用される言葉です。
家の中の家具や調度品などの室内装飾品を、まとめて「インテリア」というのと同じと考えると分かりやすいでしょう。
つまり門やアプローチなどの外構は、エクステリアを構成している要素のようなものなのです。
2. 外構工事は、どこにお願いするの?
外構工事は、ハウスメーカー、もしくは外構業者に依頼するのが一般的です。
それぞれどのような特徴があるのか確認しましょう。
ハウスメーカー
家を新築、あるいはリフォームするときには、門や塀などの外構も、
すべてハウスメーカーに依頼しようと考える方が多いようです。
ハウスメーカーは知名度や信頼度が高いため、安心できると考えられます。
また家の工事と一緒にお願いすることで、打ち合わせや支払いの窓口をひとつにできるため、
手間がかからないことも理由でしょう。
しかしハウスメーカーの外構工事は、下請けの外構業者に依頼することが多いのが実情です。
下請けに出した場合、工事費には、実際の施工にかかる費用の他に、ハウスメーカーの利益が上乗せされるため、
どうしても工事費用が高くなりがちなのがデメリットです。
外構業者
外構業者に直接依頼すると、ハウスメーカーに支払う中間マージンが発生しないため、工事費用を安く抑えられます。
同じ工事をしてもらうのならできるだけ費用を安く抑えたいという方は、外構業者に直接依頼するのがおすすめです。
また外構業者であれば、希望に沿った外構工事をお願いできる可能性が高くなります。
ハウスメーカーに依頼する場合には、あらかじめ用意されたプランから選ぶパターンが多いためです。
「こんな外構にしたい」という理想がある場合には、外構業者に直接依頼したほうが、実現できる可能性が高いでしょう。
一方外構業者に直接工事を依頼するためには、自分で優良な業者を見つけなければなりません。
業者を見極める目が必要となることがデメリットともいえます。
3. 外構工事の予算について
外構工事にどれくらいの予算を見積もっておけばよいのか、外構の種類ごとに確認しましょう。
フェンス
目隠しや侵入防止の防犯目的で家の周りに設置するフェンスは、長さと素材によって費用が異なります。
最も一般的なアルミ形材の下部にブロックを組み合わせたフェンスだと、約40〜60万程度見積もっておくとよいでしょう。
門扉
家の顔ともいえる門扉は、こだわりたい方が多い外構です。
門扉の材質やデザイン、機能によって異なりますが、シンプルな造りのもので15万円程度、
門灯やインターフォンなどをセットにすると、一般的には30万円程度になります。
アプローチ
アプローチは、門から玄関までの距離、また段差があるかによって工事費用に差が出ます。
一般的に平米単価で見積もりますが、玄関までに段差がなく、まっすぐシンプルなアプローチにした場合で20万円程度、
階段をつけるなどする場合には60万円程度みておきましょう。
コンクリート工事
車を停めるスペースをコンクリートにしたい場合には、施工する土地の表土を取り除き、
平らにしてから砂利などを敷いて押し固めた上にコンクリを流し込みます。
施工する土地の広さによって費用は異なりますが、平米1万円程度、一般的な1台駐車用のスペースで15万円程度かかります。
4. 外構を選ぶ際のポイント
ここからは、外構を選ぶ際のポイントをご紹介していきます。
外構を選ぶときには、それぞれの役割をしっかりと認識したうえで、家のイメージに合ったものを選ぶようにしましょう。
フェンス
フェンスは外からの視線を遮り、また防犯の役目も果たします。
フェンスが低ければ外から家の中が丸見えになってしまいますが、
かといって高く頑丈なフェンスにしてしまうと、圧迫感があり家の中が暗くなるデメリットもあります。
そのためフェンスを選ぶときには、実際に道路に出て家を眺め、どのくらいの高さならプライバシーを保ちつつ、
採光や風通しを守れるのかを考えるようにしましょう。
そのうえで、ナチュラルな雰囲気を与えるラティスにするのか、
機能性を重視したアルミのフェンスにするのかなどを決めていくのがおすすめです。
門扉
門扉は家の顔ともいえるため、こだわりを持っている方が多い外構です。
外からの侵入を防ぐためのものですが、子どもやペットがいる場合には、家からの飛び出しを防ぐ役割もあります。
門扉は左右に開く両開き、片側のみ開く片開き、またスライド式のものや折り戸式のものなど多くの種類があります。
門扉を設置するスペースによっては、希望する門扉が設置できない場合もあるでしょう。
門扉は特にデザインを重視しがちですが、開きやすいかどうかなどの機能面も重要です。
また家の顔となるだけに、汚れにくく掃除がしやすいものを選ぶのがおすすめです。
アプローチ
アプローチを考える際には、実際に門から玄関までの距離や動きを考えることが大切です。
門から玄関までを直線で結ぶと、距離が短く移動が楽になります。
一方カーブを描くようにアプローチを設置すると、奥行きとメリハリを出せるでしょう。
また玄関まで高低差がある場合には、階段を作らずスロープにしておくと、
ベビーカーや自転車を玄関まで移動するのに困りません。
将来、介護などで車椅子を利用するようになった場合もスロープだと安心です。
素材についても、雨などで濡れたときでも滑りにくいものを選ぶようにしてください。
テラス・サンルーム
テラスは家の一階部分から庭などにせり出した空間のことで、屋外にあるため風通しがよく、
テーブルやイスを置いてティータイムやBBQを楽しめる人気のスペースです。
そしてテラスをガラスで囲ったものがサンルームで、テラスと異なり雨風を防げることから、
物干しやペットが過ごすスペースなどさらに用途が広がります。
テラスやサンルームを設置するときには、まずは大まかに目的を決めておくと、
どのくらいのサイズのものにするか選びやすくなります。
外で過ごすことが目的であれば囲ってサンルームにする必要はなく、テラスのままでよい場合もあるでしょう。
5. 外構設備にも耐用年数はある?
決して安くはない外構設備なので、耐用年数が気になる方も多いでしょう。
外構設備は外に設置するものであるため、紫外線や風雨に長く耐えられるように作られています。
しかし使用状況や素材によっては、長くもたない場合もあるでしょう。
例えばフェンスの耐用年数は、コンクリート塀であれば15年とされています。
しかし木や金属でできたフェンスの場合は約10年と短くなり、
設置する場所や気候によってはもっと短くなることもあるでしょう。
耐用年数についてはメーカーが定める基準を参考にしつつ、痛み具合に応じてリフォームや交換を検討してください。
6. 外構工事の費用を抑えるコツ
外構工事は、こだわればこだわるほど費用が高くなってしまいます。
ここでは外構工事の費用を抑えるコツをご紹介します。
・オープン外構で必要な工事のみに絞る
外構は、敷地の境界に門やフェンスを設置せず開放感を優先する「オープン外構」と、
プライバシーや防犯を意識した「クローズ外構」の2つに大きく分けられます。
オープン外構は、防犯性には劣りますが、狭い敷地を広く見せ、採光や風通りがよくなるため近年人気があります。
最低限必要と思う外構に絞ってオープン外構にすれば、門扉やフェンスが不要になるため、
工事費用を安く抑えることが可能です。
・アプローチはシンプルなデザインに
外構は、デザインにこだわると費用が高くなりがちです。
例えばアプローチの場合、門から玄関まで直線で繋げるようにすると、
距離が短くなるため工事面積や部材が最小限に抑えられ、工事費も安くなります。
門扉やフェンスについても、デザインにこだわらずシンプルなものを選択すると、費用も安く済む場合が多いでしょう。
・樹脂フェンス
外構は、素材によっても価格が大きく異なります。
例えばフェンスの場合では、アルミの鋳物などは、デザイン製が高いため価格も高くなりがちです。
一方木製のラティスなどは、価格を安く上げることは可能ですが、耐久性がないため交換時期が早い欠点があります。
樹脂フェンスはアルミよりも価格が抑えられるうえ、木製のものより耐久性もあります。
樹脂と木粉を混ぜ合わせて作っているため本物の木のように見え、また、塗装の塗り替えも不要で便利なことが特徴です。
メンテナンスコストまで考えると、樹脂フェンスはおすすめです。
・DIYも取り入れてみる
外構工事をすべて業者に任せるのではなく、自分たちでDIYしても費用を安く抑えられます。
ただし門扉などの工事は、インターフォンの設置などが必要なら業者に任せた方がよいですし、
またフェンスについても強風で飛ばされないよう、十分な強度を持たせる必要があるためDIYはおすすめできません。
しかし門から玄関までのアプローチなどは、土を掘り起こして平らにし、芝生やレンガなどを敷いていく程度であれば、
DIYで整備することも可能です。
<<よくある外構工事の失敗にご注意!>>
外構工事の思わぬ失敗例を知って、未然に防ぎましょう。
・家周りが暗すぎた
外灯の設置数が少なかったため、家の周りが暗すぎて危ないというケース。
せっかくお庭をキレイにしたのに、夜になったらなにも見えない…というのも残念です。
防犯の意味でも、家の周りは適度に明るくなるよう、外灯を設置しましょう。
・駐車場スペースが狭い
駐車スペースが狭すぎた!というのもよくある失敗です。
特にドアを開けるスペースは、赤ちゃんのいるご家庭であれば、十分に取りたいものです。
また乗用車からファミリーカーに乗りかえたら、ゆとりがなくなったというケースも。
駐車スペースは、将来の生活スタイルの変化も考えておくようにしましょう。
・駐輪場が必要になった
駐車スペースと同様に、あとから駐輪場が必要になって困ることがあります。
特に夫婦2人だけだったときには必要性を感じなかったのに、
子どもができて自転車通学をするようになったときなどに、困ることが多いようです。
・アプローチの素材が、滑って危ない
アプローチを見栄えのいいタイルにしたら、雨で濡れたときなどに滑りやすくて危険というのもよく聞く失敗です。
敷石やコンクリートなども、雨が続くとコケがついて、ぬめりで滑る場合があります。
アプローチに使う素材は、表面がザラザラしているものや、ノンスリップ加工されたものを選ぶようにしましょう。
7. 外構工事業者の選び方
できるだけコストを抑え、相談しながら理想の外構工事をするのであれば、専門業者に依頼するのがおすすめ。
ここからは、よい外構業者の見極め方・選び方をご紹介します。
・工事内容に合った業者か
外構工事とひと口に言っても、門扉だけを取り付ける工事と庭の植栽まで含めた外構工事では内容がずいぶん違います。
業者によって、植栽は得意だけれどもアプローチの設計は苦手、あるいは門扉やフェンスは得意でも庭の提案はできないなど、
それぞれ得意分野があるため、希望する工事の内容にあった業者を選ぶことが大切です。
・必要な技術を持っているか
外構工事は、木材でフェンスを作るなら大工の、コンクリート工事をするなら左官の、
アプローチや庭を整備するなら植栽のと、さまざまな知識と技術を必要とします。
外構工事は500万円以下であれば許可や資格は不要ですが、
工事を依頼する業者が必要な技術と知識、そして経験を持っているかはしっかり確認するようにしましょう。
・工事実績は豊富か
外構工事は許可や資格が不要なだけに、経験と実績が豊富であることが優良な業者を見極めるポイントになります。
ホームページなどで工事の実績を確認する、または業者に直接工事実績を確認すると安心です。
・希望のデザインに近い工事事例があるか
外構工事といっても、洋風なデザインと和風のデザインでは工事の内容も違ってきます。
希望するデザインに近い工事をこれまで行ったことがあるか、業者に確認してみましょう。
これまでの工事事例の写真などを見せてもらい、
ご自身のイメージと似たような工事を行っている業者であれば安心して任せられます。
・丁寧な現地調査をしているか
外構工事では事前に現地調査を行いますが、そこでも業者の善し悪しを判断できます。
現地調査で必要なのは、現場の採寸だけではありません。
現場の地盤の強弱や周りの環境、すでにある構造物の確認なども行い、
お客様のご要望通りの外構を設置できるか詳しく調べる必要があります。
外構を取り付ける場所の採寸だけで済ませるような業者は、避けたほうが無難です。
・担当者はしっかりと話を聞いてくれるか
業者によっては、お客様とのお話は営業が行い、実際の工事は下請けに丸投げというところもあります。
現場で実際に作業する、あるいは現場に精通した人が担当であれば、質問に対しても的確に答えてもらえます。
また相談したことが実現できない場合には、すぐに代案をだしてくれるでしょう。
お客様と担当、そして現場の認識のズレがなく、意思疎通がスムーズにできる業者なら安心です。
・見積書は詳細がしっかり記載されているか
外構工事の見積もりには、商品単価のほか、工事内容ごとの材料費や詳細がしっかりと記載されているかを確認しましょう。
業者によっては商品単価のほかは、諸経費とトータル金額の「一式」で見積もりを出すところもあります。
内容が記載されていない場合には、工事中に「これは含まれていない」などと言って、
追加料金を請求される可能性もあるので要注意です。
最初から詳しく見積もりを出し、不明点にはしっかりと応えてくれる業者を選ぶようにしましょう。
・保証やアフターサービスは万全か
外構工事には、商品ごとのメーカー保証以外にも、工事の内容に応じて1〜3年の保証をつけるのが一般的です。
しかし、契約書に保証について記載されていない、あるいは保証はついているけれども詳しい内容を記載していない業者もあります。
自社で行った工事に保証をつけるのは、工事に対する自信の表れともいえるため、保証をつけない業者は要注意です。
またアフターサービスについても、不具合が生じたときに速やかに連絡がとれ、
すぐに見に来てもらえる体制がととのっているのか、しっかりチェックしておきましょう。
8. フェンスや門扉が壊れた!火災保険は使える?
火災保険は、火災による損害にしか使えないと思っている方が多いようですが、実はそうではありません。
火災保険は偶然の事故による損害を補償する損害保険の一種のため、
落雷や風災、雹(ひょう)災、雪災などの自然災害、また破裂・爆発による破損も補塡(ほてん)対象としています。
対象となる物品には、屋外にある門や塀、カーポートなどの外構も含まれているため、
台風でフェンスが倒れた、雹が降ってカーポートの屋根に穴が開いてしまった、
門に車を当て逃げされたなどの損害も、補償されるケースがほとんどです。
一般的には補修にかかる費用が20万円を超える場合に適用され、破損した物品の新設はもちろん、
撤去や処分にかかった費用も補塡(ほてん)されます。
ただし、例えば台風被害の場合には、最大瞬間風速が毎秒20m以上あった風災であることが認められる必要があるなど、
細かな条件があるため必ずしも補償されるわけではないことには注意が必要です。
外構設備が被害にあった場合には、まずは加入している火災保険会社に問い合わせ、
補償対象かどうか、速やかに確かめるようにしましょう。
被害調査が行われるまで時間がかかることを考えて、被害の様子を写真に撮っておくのがおすすめです。
外構工事をされたお客様の喜びの笑顔をご覧ください!
まとめ
家は建物そのものだけではなく、外構を含むエクステリアと調和させることで完成します。
外構もマイホームの一部と考えた場合、安心して任せられる業者を選ぶことはとても大切です。
しっかりとした知識と経験に基づいて、不安や疑問にきちんと答えてくれる外構業者なら、安心して任せられるでしょう。
親子大工では、外構工事も承っています。
これまで培ってきた豊富な経験を活かし、外構も含めた理想の家づくりのご提案をさせていただきますので、
ぜひご相談してください。